著作権という言葉は聞いたことがある方が多いと思いますが、著作権の引用という言葉を聞く機会は、あまりないかと思われます。
例えば、書いた記事やイラストなどが無断で使われている場合。
その他にも、書く際に引用元を明記しておけば著作権の侵害にはならないのでは?など。
著作権に係る引用は、切っても切れない言葉なのです。
今回は、そんな「引用」について、解説をさせて頂きたいと思います。
目次
そもそも、著作権とは、著作物を表現した場合に発生するものです。
もちろんのことながら、著作権を持つ者が、第三者に自身の著作物を無断で利用されたりした場合には、著作権の侵害として損害賠償の請求をおこなうことが可能です。
その他にも、著作権侵害行為について、排除してもらうことも可能です。
ただし、著作権による権利の主張ができない場合があり、それが今回解説する内容の「引用」ということになるのです。
まずは、著作権法における「引用」についての条文を確認してみましょう!
以下に著作権法の中から引用の対象となる条文を紹介しておきます。
◆著作権法第32条1項
公表された著作物は、引用して利用することができる。
この場合において、その引用は公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない。
上記の条文より分かる要件について。
となります。
(※1以前からのならわしとして通常行われることと認識されているものをいいます)
明瞭区分性というのは、引用した部分が、その他の部分と明確に分けられていることを表します。
具体的には、『』(かっこ)でくくるなどすることで、閲覧している人が明らかに別れていることが認識できることが該当します。
主従関係とは、引用した部分以外が主である、引用した部分が従(※2)であることを必要とします。
(※2あとからついてゆく、つきしたがう、従えるという意味となります。主従関係をイメージするとわかりやすくなるのではないでしょうか)
ただし、ここは難しい部分となり、分量だけで決めることはできません。
主従関係を判断することは、それほど簡単なことではないということになります。
考慮する点については、引用する・引用される著作物が、どういう性質のものであるのか?であったり、その目的や量などによって考慮されることになりますので、注意しておく必要があります。
さらに、引用をする場合の必要性や、出所を明示することも必要とされています。
出所の明示については、複製以外の場合、明示する慣行があるときとされています。
これまでの説明からもわかると思いますが、著作権に係る「引用」とは、非常に複雑な内容であることが、お分かり頂けたのではないかと思います。
これが引用であるという事実を見極めることが難しいということですね。
ただし、どこから引用したのか?を記載すれば著作権の侵害にはならないというわけではなく、他にも満たさなければならない要件があるということになります。
要約については、引用することは著作権法の条文より認められないと判断されるでしょう。
これは、全文を引用することよりも、要約の方が著作権の侵害として低いから認められるという考えもあるからなのです。
もしも、要約部分の引用が認められたとしても、同じような種類の表現である必要があると考えておきましょう。
今回は、著作権の引用について、簡単に解説してきました。
著作権の引用については、曖昧な部分も多くあることがご理解頂けたのではないか?と思います。
ただし、このような法律はありますが、あまり神経質になりすぎてしまうと、情報を発信することが不可能になってしまいます。
例えば、法律の条文などは、まぎれもない事実であり、それを変えることはできません。
それらを掲載する上で引用に該当するのでは?とビクビクしてしまうと何も作成することができませんから、要点だけとしっかりと押さえて対策を取るべきだといえるでしょう。