フリーランスであれば、原則として毎年確定申告が必要です。2020年からいくつかの控除項目が改正されるため、今のうちから理解したうえで確定申告の準備をしておきましょう。
そこで、所得控除などの改正とフリーランスの所得計算への影響などについて解説します。
フリーランスが確定申告を行う場合、事業所得の金額を確定させたあと、所得控除を引いて課税所得金額を求めます。所得控除が増えれば課税所得金額が減って、税負担が減少する仕組みです。
所得控除は14種類ありますが、2020年から控除額が変わるものがあります。
フリーランスとしては、基礎控除の改正について知っておくことが大切です。基礎控除は誰でも使える控除で、2019年までは38万円でした。
ただし、2020年からは48万円に改正されます。控除額が増加しますので、税負担軽減につながり納税者には有利な改正です。
2020年の改正点は基礎控除だけではなく、関連していくつかの改正も行われています。
なかでもフリーランスにとって影響が大きい改正は、青色申告特別控除額の改正です。2019年における事業所得がある人の青色申告特別控除は、一定の場合を除いて65万円でした。
しかし、改正後は55万円に減ってしまう人と65万円を維持できる人に分かれることになります。フリーランスとしては、65万円の控除適用を受けられたほうが有利です。
そのため、どうすれば65万円の控除を受けられるのかを十分理解しておく必要があります。具体的には、国税庁が用意した電子申告の仕組み「e-Tax」を利用するか、一定の要件を満たす会計ソフトを使って帳簿の情報を電子保存することが条件です。
2020年の確定申告で65万円の青色申告特別控除の適用を受けることができれば、基礎控除10万円アップの分がそのまま所得圧縮になり、節税につながります。
一方、65万円ではなく55万円適用の場合は、基礎控除の10万円アップは青色申告特別控除のダウンで相殺され税制上のメリットは残りません。
2020年から65万円の適用を受ける方法の1つはe-Taxの利用ですが、いきなり2020年分から電子申告に切り替えると慣れずに戸惑う可能性があります。
そのため、2019年分から電子申告を始めておくことをおすすめします。1年早くやっておけば、2020年はスムーズに処理できるようになるでしょう。
また、電子帳簿保存を選択する場合は、その会計システムを使い始める3カ月前に税務署に申請書を提出することになっています。
この方法を選択するつもりの人は、手続きを忘れないように注意することが大切です。