労働法上、フリーランスは事業者の扱いになるため、訴訟を起こされた場合や、情報漏洩などのトラブルがあった場合は、賠償責任を自分で背負わなければならないケースがあります。そうなると、今後働いていく上で大きな負担になり兼ねません。
万が一に備えて、フリーランス向けの賠償責任保険に加入していると安心です。「フリーランス協会」の会員サービスであり、フリーランスにとってどのような場面で役に立つのかや、上限、経費として計上できるのかについてご説明いたします。
またGMOクリエイターズ株式会社が運営している「フリーナンス」という請求書買取サービスの登録だけで無料で利用できる賠償責任保険についてもご案内いたします。
目次
フリーランス協会とは、12,000名以上のフリーランス・パラレルワーカーが所属するインフラ&コミュニティです。会員になると、プロフィールやポートフォリオを掲載して問い合わせ窓口として活用できる他、仕事をサポートしてくれる様々なサービスの独自優待や、連携するコワーキングスペースでの優待サービスなどが受けられます。
賠償責任保険は、フリーランス協会の会員特典の一つで、賠償責任保険となっています。
フリーランスの中でも、以下のような職業の方には、賠償責任保険への加入がおすすめです。
それではなぜ、上記のような職業だと、賠償責任保険が必要となりやすいのでしょうか。これについては、どのような場面でトラブルが発生するかを見てみるとわかりやすいです。
このように、誤まって身体的な障害を負わせてしまった、財物を壊してしまった、情報が漏れてしまったといった偶発的なトラブルが発生した場合、損害賠償請求を受ける可能性があります。
被雇用者のサラリーマンだと、雇用者である会社が業務中の賠償を肩代わりしてくれますが、フリーランスは事業者であるため、クライアントにはフリーランスの損害賠償を負担する義務はないのです。
もしも「無制限に損害賠償責任を負う」という契約を結んでいた場合は、自分で対処することになり、大きな負担となります。
入会はどんな職種でも可能です。
ただし、美容師の場合、まつげエクステなど一部のメニューは補償の対象外となります。また、医師や弁護士など、賠償責任保険の補償対象外となる専門職種もあるので、ご注意ください。
フリーランス協会が2018年3月~4月に実施した会員向けのアンケートでは、「周囲のフリーランスやパラレルキャリアに入会を勧めたいか?」という質問に、会員の19.5%が「非常にそう思う」、60.4%が「そう思う」と回答しています。
その理由としては、以下のような内容が挙げられています。
フリーランス協会への入会は、賠償保険だけでも魅力的ですが、他にも「WELBOX」と呼ばれる優待が使えることや、「Chatwork」の無償アップグレードといった特典、「所得補償制度」に加入できるといった点も支持されています。
全国3,000施設の健康診断や人間ドックの割引、eラーニング、子育て支援、税務・法務相談、レジャーや旅行などの優待や割引特典。
プロフィールや宣材データを登録して、営業ツールとして活用できます。フリーランス協会会員のデータベースに掲載され、企業や個人が無料で検索できます。
ケガや病気で万が一働けなくなったときの喪失所得を保険金として受けとれます。
報酬未払い等のトラブルにあった場合に、円満な解決をサポート。
コミュニケーションツール、会計サービス、コワーキングスペース、バーチャルオフィスワークスペース、家事代行など。
被保険者である一般会員が、国内でのフリーランスとしての業務中に発生した偶然な事故により、被保険者が法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害に対し、支払限度額の範囲内で保険金を支払います。
保証内容 | 1事故あたりの 補償限度額 | 期間中の限度額 | 自己負担額 |
---|---|---|---|
業務遂行中の補償 | 1億円 | なし | 0円(なし) |
仕事の結果(PL責任)の補償 | 1億円 | 10億円 | |
受託財物の補償 | 1,000万円 | 10億円 | |
業務過誤の補償 ※1 | 1,000万円 | 10億円 |
※1:情報漏えい、納品物の瑕疵、著作権侵害、偶然な事故による納期遅延
賠償責任保険は、フリーランス協会の目的や趣旨に賛同して入会した一般会員が対象となります。フリーランス協会に入会できる条件は、すでにフリーランスやパラレルワーカーとして働いている方や、これからフリーランスやパラレルキャリアを目指す方です。
年会費は1万円なので、月換算で約833円ととってもお得。入会手続きも簡単です!
なお、入会およびベネフィットプランの利用者は、個人に限定されています。法人名義で受託した仕事でも、業務に関わる法人の全員がフリーランス協会に入会していれば、賠償責任補償の対象となります。
さらに、年会費は必要経費として計上が可能です。領収書は、フリーランス協会HP内にある「マイページ」からダウンロードできます。
フリーナンスとは、フリーランス向けの請求書買い取りサービスです。GMOクリエイターズ株式会社が運営しており、初期費用や維持費は無料です。
請求書買い取りサービスとは請求書(売掛債権)を一定の手数料を支払って買い取ってもらい、翌日などに入金してもらうサービスでファクタリングと呼ばれるものです。
その付帯サービスとしてあんしん補償(賠償責任保険)があります。
登録するだけして、請求書買い取りサービスを利用しなくても無料で賠償責任保険が利用できるのでとてもお得です。
保証内容 | 1事故あたりの 補償限度額 | 期間中の限度額 | 自己負担額 |
---|---|---|---|
業務遂行中の補償 | 5,000万円 | なし | 0円(なし) |
仕事の結果(PL責任)の補償 | 5,000万円 | 5億円 | |
受託財物の補償 | 500万円 | 5億円 | |
業務過誤の補償 | 500万円 | 5億円 |
※1:情報漏えい、納品物の瑕疵、著作権侵害、偶然な事故による納期遅延
フリーランス協会とフリーナンスで賠償責任保険に入ることが出来ます。
それぞれの違いは下の表の通りです。
フリーランス協会 | フリーナンス | |
---|---|---|
保証内容 | ◎ | ○ |
費用 | 年1万円 | 無料 |
賠償責任保険の引受保険会社は同じ損保ジャパン日本興亜で、補償範囲は同じです。
違いは補償額で、フリーナンスはフリーランス協会の半額です。
選択するポイントは有料で大きな保証とするか、無料でそこそこの保証とするかです。またフリーランス協会で他に利用したいサービスがあるかどうかも選択のポイントとなります。
フリーランスは会社員のように福利厚生を受けられないので、自分で身を守るためにも賠償責任保険に加入して、安心できるフリーランス生活を送りましょう。